「パチンコよりひどいかも…」――。新型コロナウイルスの感染拡大で、全国の知事がパチンコ店に対して強い休業要請を行っているが、一方でパチンコ店以上にクラスター(感染者の集団)発生の危険性を指摘されているのがコールセンターだ。緊急事態宣言下でも通常出勤を求められ、職場の3密は改善されないという。「私たちは特攻隊じゃない!」と怒り心頭なのは、都内で大手携帯会社のコールセンターに勤務するオペレーターAさんだ。驚くべき実態を本紙に告発した。
安倍晋三首相は1日、新型コロナウイルス対策を検討する政府の専門家会議の提言を踏まえ、緊急事態宣言の延長を「4日に決定したい」と官邸で表明した。延長となることが濃厚だ。
その緊急事態宣言下でも“3密職場”となっているのがコールセンターだ。
「私が働くコールセンターでは、社員はテレワークに切り替わりましたが、私たち契約社員のオペレーターは通常勤務を求められています。平時だと20人ほどいるオペレーターは今、新型コロナの感染を恐れて7割の14人ほど。だけど、会社としては、休んでいる人は自己都合として欠勤扱い。過度の欠勤状態になると減給されることもあります。新型コロナに感染すれば休めますが…」
Aさんによると、オペレーターたちは週3~5日、一日当たり8時間~半日勤務しているというが、緊急事態宣言下でもなぜ、通常出勤を求められるのか。
「オペレーターが休むと、会社として損失が出るから、いつものように働かせているのだと思っています。社員はテレワークなのに。私たちは特攻隊じゃない!」
Aさんらオペレーターたちは生活もあるため、勤務を続けているが、フロアは“3密”だというから最悪だ。
「高層ビルの中にあるので窓は開けられません(密閉)。オペレーターたちは横1メートル間隔で座っています(密接)。その状態で14人ほどの勤務(密集)」
消毒も不十分という。
「ヘッドセット(マイク付きのヘッドホン)とパソコンはオペレーター同士で使い回し。仕方がないので、ウエットティッシュで拭く人もいます」
「パチンコ店よりひどいかも…」と感じる理由はこうだ。
「パチンコ店ではパチンコ台が目の前にあって、ある意味、仕切り代わりになって飛沫は防げます。コールセンターはそれがない。パチンコ店では大型の空気清浄機がありますが、こちらは申し訳程度にしか置いていない。パチンコ店は主に近所の人が通いますが、コールセンターだと広大な通勤エリアから職場に集まり、仮にオペレーターに陽性者が出れば、広範囲に感染させてしまう危険性があります」
すでに、クラスターが発生しかねない予兆はあり「もう一つのコールセンターでは感染者が出たようです」とも。
Aさんの職場に届くスマホ・携帯ユーザーからの問い合わせは「写真の削除の仕方を教えてほしい」といった“不要不急”の内容が少なくない。外出自粛で高齢者がスマホ・携帯を利用する機会が増えているのが原因のようで「この“サプリ”の使い方を教えてくれ」と「アプリ」を「サプリ」を勘違いするユーザーの対応もせねばならないのも頭が痛いという。
もっとも、コールセンターが一様に過酷な職場であるわけではない。
「(損害保険大手の)チューリッヒ保険はオペレーターがテレワークを始めました。こういった対応をすれば、3密は減らせるはずです」
Aさんは「次にクラスターが発生するのは自分たちの職場かも…」とおびえながら、今日もユーザーからの電話に対応している。