かまいたち山内健司の「ギャラ450円」時代。“カス”が本気出した意外な事件
かまいたちとして挑んだ初めてのオーディションは、「プレステージ」(大阪の劇場・baseよしもとで行われていたオーディション)だった。ゴングショー形式の厳しいオーディションで、面白くなければ最後までネタを見てもらえず、すぐに不合格音が鳴らされて落選する。
バイトしまくっていたのに借金が150万円に
プレステージは合格者だけのバトルや入れ替え戦などがあり、勝ち続けないと劇場所属メンバーになれない。一度合格したかまいたちも、また次の月からプレステージを受けて上を目指す生活が始まった。お笑いの収入はまだ月1万円前後。
それで山内さんは時給850円の漫画喫茶でハードにバイトして、月15万円ほど稼いでいた。ところが、ほぼ全額をパチスロにつぎ込み、約150万円もの借金を抱えてしまう。複数社からの借金で完全に首がまわらなくなり、ネタを作る時間もないほどパチスロにのめり込む日々。
親指がちぎれかけたケガは“神のお告げ”
いつものように漫画喫茶でバイトしていたときのこと。レジの売上金を、スタッフルームにある金庫に入れに行ったときだ。 売上金を入れて金庫を閉めようとしてもなかなか閉まらない。だんだん腹が立ってきた僕は、思いっきり金庫のドアをバタン!!!!!と閉めた。
親指の爪の生え際から半分くらいがちぎれかけてダラ~んとして、そこから血がブワッと吹き出していた。
みんなだったらその瞬間何を考えるだろう? 「ケガしてしまった!」「治るかな!? 大丈夫かな!?」いや、その前に「痛い痛い痛い痛い!!!」のはずだ。
でも、僕は違った。僕は違って「スロットやめよぉ」とまず最初に思ったのだ。それは、神様からの、スロットをやめさせるための強烈なメッセージだと、僕は瞬時にわかった。わかる人はわかると思うが、スロットは打つときに親指をかなり使う。その親指を、あり得ない事故でケガした。本当にあり得ない状況。僕の守護神が手荒な方法で僕のスロット癖を止めにきた。そうとしか考えられない。
キングオブコント、そしてM-1で躍進
<これを機に山内さんはスロットをやめ、その時間をネタ作りにあてた。ネタの質が上がり、オーディションに安定して合格するようになり、かまいたちはやっと吉本の劇場所属メンバーになった。
コントも漫才もできる中堅として、現在熱い期待を浴びているかまいたち。もし親指をケガしなければ、今の山内さんはいなかったかもしれない。
全文はこちら:https://news.yahoo.co.jp/articles/346bce2770eef26c2e6d57ba3ff901d73f4e3035?page=1
<山内健司 文/日刊SPA!取材班>
【山内健司】1881年、島根県生まれ。NSC規生。2004年に濱家隆一と「鎌鼬」を結成、のちに「かまいたち」と改名。ネタ作りとボケを担当。自伝エッセイ『寝苦しい夜の猫』を刊行
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