日本の航空各社が、国際線の減便によって減った航空貨物の輸送量を増やそうと、乗客のいない旅客機の床下の貨物スペースに加え、客席も貨物スペースとして使い始めている。マスクや防護服など、旺盛な輸送需要に応えるためだ。
ANA(全日本空輸)は22日、上海―羽田で、ボーイング社製「787」のエコノミー席(192席)に貨物を載せ始めた。マスクなどが入った段ボールでほぼ「満席」になったという。床下の貨物スペースのみよりも、最大1・4倍運べるといい、対象路線の拡大も検討する。
日本航空も20日から、上海―成田で、客席上の手荷物入れに貨物を載せ始めた。マスクなど医療物資を運ぶという。
一方で貨物運賃の高騰も問題に
↑手荷物スペースにも医療物資が
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、航空貨物の運賃が高騰している。国際旅客便の運航が大きく減り、機体の床下にある貨物用スペースを使えなくなっていることが背景にある。日本の航空大手は、医療用品などの輸送ニーズに応えようと、旅客機を貨物専用で使う、客室にも貨物を載せる、といった「苦肉の策」を打ち出している。
航空貨物運賃の指標を公表しているTACインデックス(香港)によると、上海(中国)―米国間の運賃は、4月13日時点で重さ1キロあたり6・92ドル。2月24日には2・44ドルだったが、3月に入って急上昇し、1カ月半の間に3倍近くになった。上海―欧州間も同じ期間で4倍近くに跳ね上がった。
運賃の急騰は、国際旅客便の大幅減便で貨物を運べる量も落ち込む一方で、マスクや支援物資、防護服といった医療用品の輸送ニーズが増えていることが理由とみられる。船便より高い航空便を使ってでも、輸入を急ぐ動きが日本でも広がっている。
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